2025.07.04
【保存版】大規模修繕工事の「アフター点検」とは?理事会・修繕委員会が知るべきチェック項目と成功のコツ

長い期間と多額の費用をかけたマンションの大規模修繕工事。無事に工事が完了し、美しい外観を取り戻したマンションを見て、管理組合の理事や修繕委員の皆様は、安堵されていることでしょう。
しかし、本当の意味で工事を完了させるためには、もう一つ非常に重要なステップが残っています。それが「アフターサービス点検(アフター点検)」です。
「アフター点検って具体的に何をするの?」「保証期間が過ぎたらもう手遅れ?」
そんな疑問をお持ちの皆様へ、この記事では大規模修繕工事の品質と資産価値を長期にわたって守るための「アフター点検」の重要性、具体的なチェック項目、そして点検を成功させるためのコツを、専門業者の視点から徹底的に解説します。
そもそも、大規模修繕工事の「アフター点検」とは?
アフター点検とは、大規模修繕工事の完了後、一定期間が経過した時点で行われる建物の状態確認のことです。施工会社が工事の品質を保証する「保証期間」内に、工事箇所に不具合(瑕疵:かし)が生じていないかを、施工会社が共同でチェックします。
これは、人間で言えば手術後の「経過観察」にあたります。万が一、保証期間内に工事が原因の不具合が見つかれば、原則として施工会社の責任で無償修繕が行われます。この権利を適切に行使し、工事の品質を確実なものにするための制度がアフター点検なのです。
なぜアフター点検はそれほど重要なのか?
工事が無事に終わったのに、なぜわざわざ点検が必要なのでしょうか。その理由は、マンションの未来を守るための3つの重要な側面にあります。
- 施工品質の最終確認と資産価値の維持 工事直後には分からなかった不具合が、数ヶ月から1〜2年経って現れることがあります。アフター点検は、そうした初期の不具合を早期に発見し、建物の劣化を防ぐ最後の砦です。確実な施工は、マンションの資産価値を長期にわたって維持することに直結します。
- 保証期間を最大限に有効活用するため 保証書は、ただ保管しておくだけでは意味がありません。保証期間内に点検を行い、権利を主張してこそ価値が生まれます。「気づいた時には保証が切れていた」という事態を避けるためにも、計画的な点検が不可欠です。
- 管理組合の重要な責任を果たすため 理事会や修繕委員会は、区分所有者全員から託された大切な修繕積立金を使い、工事を発注しました。その工事が確実に行われたかを見届け、建物の将来に責任を持つことは、管理組合の非常に重要な責務と言えます。
アフター点検は「いつ」「誰が」行う?
【時期】 一般的には、工事完了後、「1年後」「2年後」に行われるケースが最も多いです。その他、工事内容や保証内容に応じて「3年後」「5年後」「10年後(シーリングなど)」など、複数回設定されることもあります。
【理事・修繕委員必見】アフター点検の具体的なチェック項目リスト
では、具体的にどこを見ればよいのでしょうか。工事箇所別に、最低限確認すべきチェックポイントをリストアップしました。点検当日にご活用ください。
□ 1. 外壁(塗装・タイル)
- 塗装面のふくれ、ひび割れ、剥がれはないか?
- タイルのひび割れ、浮き、剥落はないか?
- シーリング(コーキング)材に切れ、硬化、剥がれはないか?
□ 2. 屋上・バルコニー(防水層)
- 防水層にふくれ、破れ、ひび割れはないか?
- 雨漏りや漏水の形跡(天井のシミなど)はないか?
- 排水口(ドレン)周りにゴミが詰まったり、防水層が剥がれたりしていないか?
□ 3. 共用廊下・階段
- 床の防水シートにめくれ、破れ、浮きはないか?
- 手すりや階段などの鉄部にサビや塗装の剥がれはないか?
- 天井や壁に漏水によるシミなどが発生していないか?
□ 4. 鉄部塗装(手すり、PS扉、消火栓ボックスなど)
- 塗装面にサビ(特に溶接部や根本)が発生していないか?
- 塗装の剥がれや、色あせが著しくないか?
まとめ:アフター点検は、未来の安心への投資です
大規模修繕工事は、完了した瞬間がゴールではありません。アフター点検を通じて工事の品質を最終確認し、保証をしっかりと活用するところまでが、一連のプロジェクトです。
誠実な施工会社ほど、このアフター点検を重視し、真摯に対応してくれます。それは、自社の仕事に誇りと責任を持っている証拠でもあります。
管理組合の皆様が主体的にアフター点検に関わることは、大切なマンションの資産価値を守り、次の世代へと受け継いでいくための、未来への賢い投資と言えるでしょう。この記事が、皆様のマンションの価値を守る一助となれば幸いです。
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