2025.05.09
大規模修繕工事の「足場」徹底解説!種類・費用・安全対策まで管理組合が知るべき全知識

大規模修繕工事を計画される際、多くの管理組合様が疑問や不安を感じるのが「足場」についてではないでしょうか?
「そもそも、なぜ足場が必要なの?」 「どんな種類の足場があるの?」 「費用はどれくらいかかるんだろう?」 「工事中の安全性や防犯面は大丈夫?」 「住民の生活への影響は?」
大規模修繕工事において、足場は工事の品質や安全性を左右する非常に重要な要素です。しかし、その専門性の高さから、管理組合様にとっては分かりにくい部分も多いかと存じます。
そこで今回は、大規模修繕工事の足場について、管理組合の皆様が知っておくべき情報を網羅的に解説いたします。この記事をお読みいただくことで、足場に関する疑問や不安が解消され、施工会社との打ち合わせや工事計画の検討がスムーズに進む一助となれば幸いです。
なぜ大規模修繕工事に「足場」は必要不可欠なのか?
まず、基本的な点として、なぜ大規模修繕工事に足場が必要なのかをご説明します。主な理由は以下の通りです。
- 作業員の安全確保: 高所での作業が中心となる大規模修繕工事において、作業員の墜落・転落事故を防ぎ、安全に作業できる環境を確保するために足場は不可欠です。安定した足場があることで、作業員は安心して作業に集中でき、結果的に工事の品質向上にも繋がります。
- 作業効率と品質の向上: 足場は、作業員が効率的に移動し、必要な資材や道具を適切な場所に配置するための「作業床」となります。これにより、作業のスムーズな進行が可能となり、工期の短縮や丁寧な施工による品質確保に貢献します。
- 資材の運搬と仮置き: 塗装材、タイル、シーリング材など、多くの資材を効率よく上層階へ運搬したり、一時的に置いたりするスペースとしても足場は活用されます。
- 飛散防止と近隣への配慮: 足場の外周には、メッシュシートや防音シートを設置します。これにより、塗料の飛散、粉塵の舞い上がり、工具の落下などを防ぎ、居住者様や近隣住民の方々への影響を最小限に抑える役割を果たします。特に、我々が拠点とする関西の住宅密集地では、この配慮が極めて重要になります。
このように、足場は単なる作業台ではなく、安全・品質・効率・環境保全といった多岐にわたる目的を果たす、大規模修繕工事の土台となる重要な設備なのです。
大規模修繕工事で使われる足場の主な種類と特徴
大規模修繕工事で使用される足場には、主に以下の種類があります。建物の形状、敷地の状況、工事内容などによって最適なものが選択されます。
1.くさび緊結式足場(ビケ足場):最も一般的
- 特徴:一定間隔に緊結部(ポケット)が付いた鋼管を支柱とし、手すりや踏板などに付いている「くさび」をハンマーで打ち込んで接続する足場です。「ビケ足場」という名称でも知られています。
- メリット:ハンマー1本で組み立て・解体が可能で作業効率が良い、比較的小回りが利き、中層程度の建物まで対応可能。施工が簡易のため、工期短縮につながる。
- デメリット:組み立て・解体時にハンマーの打撃音が響きやすい。トラックに資材を乗せた状態での組立が可能のため、敷地面積の限られたマンションに向いている。
- 用途:戸建て住宅や低中層マンションでの使用が過去は多かったが、近年では大規模修繕工事で最も一般的となっている。
2.枠組足場(わくぐみあしば): 耐久性が高い
- 特徴:工場で生産された建枠(パネル状の部材)をメインに、ジャッキベース、交差筋交(ブレース)、鋼製布板(床材)などを組み合わせて構築する足場です。
- メリット:強度が高く安全性が確保しやすい、部材が規格化されているため管理しやすい。
- デメリット:部材が大きいため、狭い場所や複雑な形状の建物には対応しにくい場合がある。資材の仮置きスペースが必要なため、敷地面積の限られたマンションには不向き。
- 用途:中高層マンションなど、比較的大きな建物の大規模修繕工事で採用されています。
- 箇所などで使用されることがあります。
3.次世代足場:耐久性が高い、作業性がよい(但し最も高額)
- 特徴:各社が開発した新型の足場システムで、作業者の安全性や施工効率を重視して設計されている足場です。代表例には「IQシステム(アルインコ)」「アルバトロス(平和技研)」などがあります。手すり先行工法が標準化されており、墜落防止対策が強化されています。
- メリット:組立・解体の効率も高く、省力化が可能。軽量化された部材を採用しているものが多く、作業者の負担が少ない
- デメリット:従来の足場に比べて資材費・レンタル費用が高額。仕様がメーカーごとに異なるため、汎用性が低い(他社部材との互換性がない)。
- 用途:安全性が特に重視される公共工事やゼネコン案件。大規模修繕工事でも採用が進んでおり、特に高層マンションや難易度の高い現場で選ばれやすい気になる「足場」の費用はどれくらい?
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大規模修繕工事の総費用の中で、足場に関連する費用(仮設工事費)は、一般的に15%~20%程度を占めると言われています。これは決して小さな割合ではなく、管理組合様にとっては大きな関心事でしょう。
足場の費用は、主に以下の要素によって変動します。
- 足場の種類: 上記で説明した種類によって単価が異なります。
- 足場面積: 建物の形状や高さから算出される、足場を設置する面積。
- 設置期間: 工事期間が長くなるほど、足場のレンタル費用も増加します。
- 建物の形状と立地: 複雑な形状や、作業スペースが限られる場所では、設置・解体の手間が増え、費用が上がる傾向があります。
- 安全対策・環境対策: メッシュシートの種類(防音性能など)、落下防止措置、侵入防止措置などのグレードによって費用が変わります。
- 運搬費: 足場部材を現場まで運搬・搬入出するための費用。
見積もりを確認する際は、「仮設工事一式」とまとめられている場合でも、可能であれば足場の種類や面積、単価、シートの種類などの内訳を明示してもらうようにしましょう。費用の妥当性を判断する上で重要な情報となります。ただし、単に費用が安いというだけで判断するのは危険です。安全対策が不十分であったり、品質の低い部材を使用していたりする可能性も考えられます。費用と、安全性・品質のバランスを考慮して検討することが肝要です。
最も重要な「安全対策」と「防犯対策」
足場の設置期間中、管理組合様や居住者様が最も気にされるのが「安全」と「防犯」の問題です。施工会社は、これらの対策に万全を期す責任があります。
【安全対策】
- 法令遵守: 労働安全衛生法に基づき、部材の選定、組立方法の遵守、定期的な点検などが義務付けられています。
- 部材・組立の品質: 認定基準を満たした部材を使用し、経験豊富な職人が正確に組み立てることが基本です。手すりの設置、壁つなぎ(建物と足場を固定する部材)の適切な配置などが重要です。
- 飛来・落下物対策: 工具や材料の落下を防ぐための対策、外周への「メッシュシート」の展張は必須です。強風対策も重要になります。
- 第三者災害の防止: 居住者様や通行人の方々が、足場に接触したり、落下物に当たったりしないよう、注意喚起の表示や、必要に応じた通路の確保、誘導員の配置などを行います。
- 作業員の安全管理: ヘルメットや安全帯の着用はもちろん、日々のKY活動(危険予知活動)や安全教育の実施も欠かせません。
【防犯対策】
足場が設置されると、普段はアクセスできない上層階への侵入が容易になるというリスクが生じます。そのため、以下のような防犯対策が講じられます。
- 足場の出入り口管理: 作業時間外は、足場への昇降階段の入り口を施錠したり、取り外したりして、部外者の侵入を防ぎます。
- センサーライトや防犯灯の設置: 夜間に人が近づくと点灯するセンサーライトを設置し、侵入を抑止します。
- 防犯カメラの設置: ダミーカメラも含め、設置することで侵入者への威嚇効果が期待できます。
- 侵入防止柵・忍び返しの設置: バルコニー付近など、侵入されやすい箇所に物理的な障壁を設けることもあります。
- 居住者への注意喚起: 工事期間中は、窓やバルコニーの施錠を徹底していただくよう、チラシや掲示板などで注意喚起を行います。
これらの安全・防犯対策は、施工会社によって内容やレベルが異なる場合があります。どのような対策を講じる予定なのか、契約前に具体的に確認し、必要であれば追加の対策を要望することも検討しましょう。私たち関西塗研工業では、関西での豊富な経験に基づき、立地条件や建物の特性に合わせた最適な安全・防犯計画をご提案いたします。
足場設置期間中の居住者への影響と配慮
大規模修繕工事、特に足場の設置・解体期間中は、居住者の皆様の日常生活にある程度の影響が出てしまうことは避けられません。施工会社には、その影響を最小限に抑えるための配慮が求められます。
- 騒音・振動: 足場の組立・解体時には、部材の運搬音やハンマーの打撃音などが発生します。特に「くさび緊結式足場」は音が響きやすい傾向があります。
- プライバシーの問題: シートで覆われるとはいえ、作業員が窓の近くで作業することもあり、プライバシーへの不安を感じる方もいらっしゃいます。カーテンを閉めるなどの対応をおこないましょう。
- 粉塵・塗料の臭い: シートで飛散防止対策を行いますが、風向きなどによっては多少の粉塵や臭いが発生する可能性があります。換気への配慮や、作業内容に応じた養生の徹底が求められます。
- バルコニーの使用制限: 作業内容によっては、一時的にバルコニーへの立ち入りや洗濯物干しなどが制限される場合があります。事前に十分な告知期間を設け、ご協力をお願いする必要があります。
これらの影響について、施工会社から管理組合様へ、そして管理組合様から居住者の皆様へ、丁寧な事前説明と工事期間中のこまめな情報提供を行うことが、トラブルを防ぎ、工事を円滑に進めるための鍵となります。
信頼できる施工会社選びのポイント(足場編)
大規模修繕工事を成功させるためには、信頼できる施工会社を選ぶことが最も重要です。足場に関して、以下の点をチェックしましょう。
- 実績と経験: マンションの大規模修繕工事、特に足場の設置・管理に関する実績が豊富か。関西エリアでの施工実績も確認しましょう。
- 安全管理体制: 労働安全衛生法を遵守しているか、作業員の安全教育は徹底されているかなどを確認します。
- 具体的な計画: 見積もりや提案の段階で、どのような種類の足場を、どのような計画(工程、安全対策、防犯対策、居住者への配慮など)で設置・運用するのか、具体的に説明できるか。
- 見積もりの透明性: 足場に関する費用が、どのような根拠で算出されているのか、内訳が明確になっているか。
- 保険への加入: 万が一の事故に備え、適切な賠償責任保険に加入しているか。
私たち関西塗研工業は、関西エリアでの長年の経験に基づき、安全で高品質な足場計画をご提案することはもちろん、管理組合様や居住者の皆様との丁寧なコミュニケーションを大切にし、安心して大規模修繕工事をお任せいただけるよう努めております。
まとめ:足場を理解し、安心・安全な大規模修繕工事を
今回は、大規模修繕工事における足場の重要性、種類、費用、安全・防犯対策、居住者への影響などについて詳しく解説しました。
足場は、工事期間中、マンション全体を覆う大きな構造物であり、その品質や管理体制が大規模修繕工事全体の成否を左右すると言っても過言ではありません。管理組合の皆様が足場に関する正しい知識を持つことで、施工会社とのコミュニケーションが円滑になり、より安心・安全で質の高い大規模修繕工事を実現することができます。
私たち関西塗研工業は、関西(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)の地で、数多くのマンション大規模修繕工事を手掛けてまいりました。足場の計画・設置・管理においても、安全と品質、そして居住者の皆様への配慮を第一に考え、豊富な実績に裏打ちされた最適なご提案をさせていただきます。
大規模修繕工事の足場に関するご質問やご相談、お見積もりのご依頼など、どうぞお気軽に関西塗研工業までお問い合わせください。管理組合の皆様の立場に立ち、親身になってサポートさせていただきます。
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大規模修繕工事に関することであればどんな些細なことでも構いません。安心・安全な施工業者を正しく選定するためにも、まずはお問い合わせいただき、不安事項を解消していただければと思います。
