2025.04.16
大規模修繕工事の発注方式、どれが最適?管理組合が知るべき「責任施工方式」のメリット・デメリット

マンションの資産価値を守り、安全で快適な暮らしを未来へつなぐ大規模修繕工事。管理組合の皆様にとって、これは避けて通れない重要なプロジェクトです。しかし、その進め方、特に「どの発注方式を選ぶか」は、多くの専門知識が必要とされ、頭を悩ませる問題ではないでしょうか。
「どの方式がうちのマンションに合っているの?」 「費用は抑えたいけど、品質は大丈夫?」 「組合の負担はなるべく減らしたい…」
大規模修繕工事の発注方式にはいくつかの種類があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
私たち関西塗研工業は、関西エリアを中心に数多くのマンション大規模修繕工事を「設計監理方式」と「責任施工方式」で手掛けてまいりました。その経験に基づき、今回はこの「責任施工方式」に焦点を当て、その仕組みやメリット、そして気になるデメリットや注意点について、管理組合様の視点に立って詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
この記事が、マンションの大規模修繕工事に関する皆様の疑問を解消し、最適な選択をするための一助となれば幸いです。
大規模修繕工事の主な発注方式をおさらい
まず、大規模修繕工事の代表的な発注方式を簡単に整理しておきましょう。
1.設計監理方式:
- 設計事務所などのコンサルタントが設計と工事監理を行い、施工会社は別途選定する方式。設計と施工が分離されます。第三者のチェックが入るため透明性や品質確保に期待が持てますが、設計料・監理料が別途発生し、関係者が増えることで連携に課題が出る可能性もあります。
2.責任施工方式:
- 施工会社が調査診断、設計、施工までを一貫して請け負う方式。 窓口が一本化されるため、管理組合様の負担が少なく、スムーズな進行が期待できます。設計と施工の連携が密なため、コスト効率や工期短縮にもつながりやすい方式です。(※この記事で詳しく解説します)
どちらの方式にも一長一短があり、マンションの状況や管理組合様の考え方によって最適な方式は異なります。今回は、多くの実績を持つ「責任施工方式」について、その実態を詳しく見ていきましょう。
「責任施工方式」とは? その仕組みと特徴
責任施工方式とは、その名の通り、施工会社が「責任」を持って、大規模修繕工事の初期段階である調査診断から、修繕計画の立案(設計)、実際の工事(施工)、そして完了後のアフターサービスまでを一貫して請け負う発注方式です。
責任施工方式のプロセス(一般的な流れ):
- 建物調査診断: 専門技術者が建物の劣化状況を詳細に調査・分析します。
- 修繕計画・設計: 調査結果に基づき、必要な修繕内容、仕様、工法などを盛り込んだ計画書と設計図書を作成します。管理組合様のご意向や予算も反映されます。
- 見積もり提出・契約: 設計に基づき、詳細な工事費用の見積もりを提出し、内容にご納得いただければ工事請負契約を締結します。
- 施工: 計画・設計に基づき、安全管理・品質管理を徹底しながら工事を進めます。工事中の進捗状況は定期的に管理組合様へ報告されます。
- 完了検査・引き渡し: 工事完了後、管理組合様立ち会いのもとで検査を行い、問題がなければお引き渡しとなります。
- アフターサービス: 保証期間に基づき、定期点検や不具合発生時の対応を行います。
この方式の最大の特徴は、管理組合様の窓口が施工会社一つに集約される点です。これにより、様々なメリットが生まれます。
責任施工方式を選ぶメリット【管理組合様の視点から】
管理組合様にとって、責任施工方式には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
- 窓口一本化による負担軽減とスムーズな進行: 設計会社と施工会社が別々の場合、管理組合様はそれぞれの会社と打ち合わせや調整を行う必要があり、時間的にも労力的にも大きな負担がかかります。責任施工方式では、窓口が施工会社に一本化されるため、連絡や確認、意思決定のプロセスがシンプルかつ効率的になります。これにより、理事会や修繕委員会の皆様の負担が大幅に軽減され、プロジェクト全体がスムーズに進行しやすくなります。
- 設計と施工の連携による工期短縮・コスト効率化: 設計段階から施工を担当する技術者の視点が入るため、実際の施工方法やコストを考慮した、現実的で効率的な設計が可能になります。設計と施工の間の齟齬(そご)や手戻りが少なくなり、結果として工期の短縮やコストの最適化につながる可能性が高まります。「絵に描いた餅」ではない、実現可能な計画を立てやすいのが強みです。
- 責任の所在が明確: 設計から施工までを一貫して請け負うため、万が一、工事完了後に何らかの不具合(瑕疵)が発生した場合でも、責任の所在が明確です。「設計が悪かったのか、施工が悪かったのか」といった責任の押し付け合いになるリスクが低く、迅速かつ誠実な対応が期待できます。これは、長期的な安心感につながる重要なポイントです。
- 豊富な実績を持つ施工会社なら安心・信頼できる: 特に、私たち関西塗研工業のように関西エリアで長年にわたり多数の大規模修繕工事を手掛けてきた実績豊富な施工会社であれば、様々な状況に対応できるノウハウや技術力を持っています。調査診断から設計、施工、そしてアフターサービスまで、一貫して質の高いサービスを提供することで、管理組合様にご安心・ご満足いただける工事を実現します。
- 最新技術や工法の提案を受けやすい: 責任施工方式では、施工会社が持つ技術力や最新情報を活かした提案を受けやすいという側面もあります。建物の状況や管理組合様のニーズに合わせて、より耐久性の高い材料や、将来的なメンテナンスコストを削減できる工法など、プロならではの付加価値の高い提案が期待できます。
責任施工方式のデメリット・懸念点とその対策
一方で、責任施工方式には、以下のような懸念点が指摘されることもあります。しかし、これらは信頼できる施工会社を選び、適切なコミュニケーションをとることで十分にカバーできます。
1.懸念点:透明性は確保されるの?
- 解説: 設計と施工が一体となっているため、「工事費用が適正なのか」「手抜き工事をされないか」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
- 対策: 信頼できる施工会社は、詳細な見積もり内訳を提示し、その根拠を丁寧に説明します。また、工事期間中も定期的な報告会を実施したり、工事写真アルバムを作成したりするなど、進捗状況や施工内容をオープンに共有します。管理組合様のご希望に応じて、第三者機関による検査を受け入れるなど、透明性を高める努力を惜しみません。重要なのは、誠実に対応してくれる会社を選ぶことです。
2.懸念点:施工会社主導になりやすいのでは?
- 解説: 窓口が一本化される反面、施工会社のペースで話が進んでしまうのではないか、という懸念です。
- 対策: 大規模修繕工事の主体は、あくまで管理組合様です。信頼関係に基づきつつも、管理組合としての方針や要望は明確に伝え、譲れない点はしっかりと主張することが大切です。定期的な打ち合わせの場を活用し、疑問点や不安な点は遠慮なく質問しましょう。良好なパートナーシップを築くことで、管理組合様の意向を最大限反映した工事が可能になります。
3.懸念点:設計の客観性に問題はない?
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- 解説: 施工会社内部の設計であるため、客観的な視点やデザイン性に欠けるのではないか、という見方もあります。
- 対策: 多くの実績を持つ施工会社の設計部門は、建築士などの専門資格を持つ技術者が多数在籍しており、高い専門性と豊富な経験に基づいた設計を行っています。また、管理組合様のご要望に応じて、複数のデザイン案を提示することも可能です。どうしても不安な場合は、管理組合様側でセカンドオピニオンとして他の設計事務所に意見を求めることも選択肢の一つです。

責任施工方式が適しているケース
責任施工方式は、特に以下のような管理組合様におすすめできる発注方式です。
- 管理組合の役員(理事・修繕委員)の負担をできるだけ軽減したい場合
- 意思決定やプロジェクト進行をスムーズかつスピーディーに行いたい場合
- 設計から施工、アフターサービスまで、一貫した責任体制を重視する場合
- 信頼できる施工会社が見つかっており、良好なパートナーシップを築きたい場合
- 工期をできるだけ短縮したい、コスト効率を重視したい場合
信頼できる施工会社を選ぶポイント【責任施工方式を成功させるために】
責任施工方式で大規模修繕工事を成功させるためには、パートナーとなる施工会社選びが最も重要です。以下の点をチェックしましょう。
- 豊富な実績と技術力: 特に、ご自身のマンションと同規模・同タイプの施工実績が豊富かを確認しましょう。私たち関西塗研工業は、関西エリアで40,000戸以上の実績があります
- 経営状況の安定性: 長期にわたるアフターサービスのためにも、会社の安定性は重要です。
- 丁寧な説明とコミュニケーション能力: 専門用語ばかりでなく、管理組合の皆様に分かりやすく説明してくれるか、質問に誠実に答えてくれるかを見極めましょう。
- 見積もりの透明性と詳細度: 「工事一式」のような大雑把なものではなく、項目ごとに詳細な内訳が記載され、内容が明確かを確認します。
- 充実したアフターサービス体制: 保証内容、保証期間、定期点検の有無などをしっかり確認しましょう。
- 地元(関西)での評判と信頼性: 地域に根ざし、長く事業を続けている会社は、信頼性が高い傾向にあります。
まとめ:責任施工方式の理解を深め、最適な選択を
今回は、大規模修繕工事の代表的な発注方式の一つである「責任施工方式」について、その仕組み、メリット、そして懸念点と対策を詳しく解説しました。
責任施工方式は、窓口一本化による管理組合様の負担軽減、スムーズな進行、設計・施工の連携による効率化、そして責任の所在の明確さといった多くのメリットを持つ、非常に合理的な発注方式です。
もちろん、透明性の確保や管理組合様の主体性維持といった点に留意する必要はありますが、これらは信頼できる施工会社を選び、良好なコミュニケーションをとることで十分に克服できます。
私たち関西塗研工業は、責任施工方式のエキスパートとして、関西エリアで数多くの管理組合様の大規模修繕工事をお手伝いしてまいりました。豊富な実績と技術力、そして何よりも管理組合様に寄り添う誠実な姿勢で、皆様の大切なマンションの資産価値維持に貢献いたします。
大規模修繕工事の発注方式選びでお悩みの方、責任施工方式についてさらに詳しく知りたい方、まずはお気軽にご相談ください。調査診断からお見積もりまで、無料で対応させていただきます。
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